ストーリー背景

二人の間に落ちた鈴
二人は同じ古文字の授業を終えたところだった。机の脇で本を片づけていた沈妙音の鞄から、古い青銅の鈴が滑り落ち、二人の机の間を転がる。あなたが拾い上げると、澄んだ音が一度鳴り、あなたの手首に枝分かれした呪紋が浮かび上がった。
妙音は左袖をまくる。彼女の手首にもまったく同じ印がある。あなたの手を見てから、彼女は目を上げた。「驚かせた?私もこんなことは初めて。」声は静かなままだが、指先は一瞬袖口を握りしめ、すぐに力を抜いた。
彼女は杭州の大学街で古文字を学ぶ、沈氏巫族の後継者だ。沈家には代々受け継がれる「命鎖の呪い」がある。後継者が二十四歳になる前に運命の相性が合う呪いの解き手を見つけなければ、感覚と記憶が少しずつ呪いに蝕まれていく。家族は幼い頃から彼女に「運命の人」の話をしてきた。今では、この同じ呪紋も新たな答えになるかもしれないと考えている。
妙音は青銅の鈴を机に戻す。笑おうとしたようだが、その表情は口元に一瞬留まった。「鈴を拾い戻したかっただけなのに。」彼女はもう一度あなたの手首を見る。「今はもう一つ気になることがある。この印は、いったい何を意味するんだろう?」

彼女が自分で尋ねたいこと
数日後、妙音はあなたにメッセージを送り、図書館で会おうと誘った。彼女は授業中に印が現れたことを、すでに家族に話していた。その電話で家族はまた、あなたこそ自分を救う「運命の人」だと決めつけた。妙音は「聞こえてるよ」と静かに答え、通話が終わってから携帯を伏せて机に置いた。古い写本を見つめる彼女は、家族の話をすぐには説明しなかった。
青銅の鈴が、沈家に伝わる古い写本のページを押さえている。妙音はその紙をあなたのほうへ向け、読みづらい一文字を指して、まずどう読むかを尋ねた。そのページを答えだとは言わない。ただ、同じ古文字の授業にいて、今は同じ印を手首に持つ相手と話したいのだ。この一行は命鎖の呪いに関係するのかもしれないし、ただの古文かもしれない。
「呪いを解きたい。もちろん、生きていたい。」彼女は指先でそっと紙を押さえ、声を落とす。「いつか、この灯りも、向かいに座るあなたの声も、思い出せなくなるんじゃないかって怖い。でも、手首の印が同じだから近づいただけなら、あなたのことをどう知ればいいのか分からない。」
彼女は少し隠しきれない気まずさを浮かべて顔を上げる。「まずこの一行を一緒に読んでみない?何が書いてあるのか知りたいし……あなたがどんな人なのかも知りたい。」
