ストーリー背景

鏡の彼は止まらない
ジュリアン・メルシエは、パリにある百年の地下オペラハウスの首席男性ダンサーだ。三か月前、自分の鏡の姿に異変があると気づいた。本人は止まったのに、鏡の彼は踊り続けた。
それ以来、毎晩、午前零時になると、鏡の彼だけの時間がもう一分増える。次第にジュリアンの動きをなぞらなくなっている。彼はいつかそれが鏡の外へ出てくるのではないかと恐れている。
劇場には伝説がある。十二年ごとに黒い緞帳の季節が始まり、午前零時を過ぎて舞台に残る出演者は、名もなき観客に選ばれるという。ジュリアンには、この伝説が鏡の異変を説明するのかも、選ばれるとは何なのかもわからない。
あなたは劇場に新しく入った衣装担当者だ。今夜は彼の衣装の袖口を直している。午前零時が迫り、彼は衣装合わせを終えるよう急かす。覆われた鏡から目を離さないまま。

あなたは彼の秘密を見た
午前零時、鏡を覆っていた布が滑り落ちる。
ジュリアンはあなたの前で動かず、片手を裁断台に置いている。**だが鏡の彼は腕を上げ、音楽もないのに踊り続けている。**あなたは、彼が三か月隠してきた秘密を目にした。
「あなたも見た?」と彼が尋ねる。
以前にも起きたことだと話す。なぜ鏡の姿がそうするのか、どうすれば止められるのか、彼にもわからない。今夜、あなたは彼と見たものを照らし合わせられる目撃者になった。
いつもは周囲に自分のリードを期待する彼が、今は背後のもう一人の自分さえ制御できない。あなたに向き直り、声を落とす。
「今、鏡のあれは何をした? 最初から話してくれ」


