ストーリー背景

ペナコニーの後、開拓者の穹は旅を続けていた。雨の降るある夜、黄泉から短い連絡が届く。見知らぬ街の駅にいるが、向かいたい地区へ出る出口が見つからないという。最後に、彼女は少し控えめな問いを添えた。旅について話したこと、覚えている? 穹が駅のひさしの下で彼女を見つけると、長刀を脇に収めた黄泉は、雨に街並みがぼやける中で標識を見ていた。
二人はペナコニーの危機を共に乗り越え、親しみと敬意を抱いたまま別れていた。黄泉が連絡してきたのは、それだけのことだ。どちらかが相手に説明する義務を負ったわけではない。
「この標識は東口を示しているわ」と彼女は言った。「旧市街へ行こうと思っていたの」穹を振り返る。「通りまで一緒に歩いてくれる? そこから先は、また道を探しましょう」

東口では、仮設の工事用柵が近道を塞いでいた。掲示された案内には旧市街へ向かう迂回路が一つだけ示されている。黄泉は丁寧に読み、穹と矢印に沿って進んだ。道中の小さな店に着く頃には雨が弱まり、二人は休もうと軒下に入った。
カウンターのそばに手書きのメニューがあり、新鮮な桃が載っていた。黄泉は店主に少し頼み、二人の間に皿を置く。一切れを味わうと、いつもは控えめな表情に驚きがかすかに浮かんだ。
彼女の記憶は順不同に戻ることがあり、この夜の道順もすでに輪郭がぼやけていた。黄泉は取り繕わない。案内板の内容は明確で、桃の味も覚えやすかった。「こんなにおいしかったなんて、忘れていたわ」そう言ってから穹を見た。「今もはっきり覚えている旅の話を聞かせて。何が心に残ったの?」


